今回はCHAT理論で気を付けるポイントのダメージについて解説します。
CHAT理論(前編)をまだ見ていない方はそちらもご参考ください。
CHAT理論でダメージを考える
物に与えるダメージについてCHAT理論に当てはめて考えていきたいと思います。
Chemical(洗剤)が与えるダメージ
レンジフードのような塗装面についた油汚れを取り除くには強アルカリ洗剤を使いますが
強アルカリ洗剤は塗膜にダメージを与えてしまいます。アルカリのPh(ペーハー)が高いほど、濃度の濃いほど油はより分解されていきますが、その分物に与えるダメージは大きくなります。強アルカリ洗剤以外の洗剤にも同様に使用によってはダメージを与えますので、洗剤の特性を理解する必要があります。洗剤の特性についてはまたの機会で解説したいと思います。
Heat(温度)が与えるダメージについて
希釈温度が高い場合、プラスチック素材のものは変形します。温度についてはメリットとデメリットがあり、例えば塩素などは温度を上げると揮発して効力が下がってしまいます。油汚れなどで熱を加えた場合、油は固体から液体に変化、これを「熱変性」といいますが固体の場合の方が取れやすかったり、液体になることで油が伸びて拭き取りに時間がかかったり、キレイな面に油が付いたりと2次汚染の原因にもなります。
Agitation(物理力)が与えるダメージについて
固着した汚れを取ろうとして固い物質で擦ると表面が削れてしまいます。デリケートな部分は特に何で擦るのかを考える必要があります。基本的に擦る物が対象物よりも硬度が弱ければキズが付くことはありません。例えばレンジフードの油汚れを取る場合、あまりにも固まっていたりするとScrape(削る)をしますが、金属のスクレーパーだとキズが付く所はプラスチックタイプのものを使います。[itemlink post_id=”314″]
Time(時間)が与えるダメージについて
例えば酸性洗剤を使って蛇口のスケール(水垢)を取る場合、酸性洗剤の種類にもよりますが、塗布して放置すると蛇口が変色してしまう可能性があります。窓ガラスなども同様に酸で溶けます。ですがスケールを取り除くには酸が必要なので、酸を塗布する訳ですが、あまり時間はおけません。そのタイミングがポイントで、それを超えると変色してしまい元に戻すことが出来なくなります。
ダメージを回避する方法
CHAT理論のなかで最も注意すべきものはC(洗剤)とA(物理力)です。洗剤は今では多種多様なものが出ていますので、専用の洗剤はある程度ダメージについても配慮されて作られています。まず汚れの状態を観察し、その汚れが落ちるだけの効能で洗剤・濃度をチョイスすることでリスクを減らしましょう。 A(物理力)も固いもので擦れば洗剤が無くても取れるかもしれませんが、キズが付いてしまいます。キズが付くと元通りになりませんし、その後キズに汚れが入り込み取れにくくなったりします。道具やパット、スポンジ関係も沢山種類が出ておりますので、用途に応じて変更しましょう。
合っているか隅で確かめる
洗剤・濃度のチョイスやパット類が物に合っているかを隅で試しに確認するのも重要です。
パットが物よりも硬くてキズが付けば変更し、洗剤の特に濃度は微妙に調節していくと良いでしょう。洗剤に関しても、パット類に関しても大丈夫な安全なラインから徐々に上げていき、ポイントをみつけると良いでしょう。
一度に汚れを取ろうとしない
スピードを重視するあまり、強い洗剤や、固いもので擦るとダメージになります。
安全なラインで試してそれを繰り返すのが無難にキレイにするコツです。その次のステップとしてそのラインを少しずつ上げていくというのが良いでしょう。
スプレー噴霧せず刷毛で塗る
特に塗装面などは強アルカリが当たるとダメージを受けます。スプレーした部分に強烈に当たりそこだけ変色してしまうというケースも。なので噴霧よりも塗布をすることおすすめします。
つけ置きが長いほど良いわけではない
洗剤にもよりますがつけ置き時間が長ければその分物にダメージを与え続けます。汚れが浮いた時点でブラッシングし洗うのをおすすめします。
温度が高ければ良いというわけではない
汚れの落ちる適温は40℃から50℃と言われています。それ以上温度を上げても効果があまり変わらないということです。高温にすると物にダメージがあり、塗装が剥げてしまったり、プラスチックが変形したりしてしまいます。
まとめ
今回はダメージについて解説しました。スピードを求めるとどうしても固いブラシや濃度の濃い洗剤に頼りがちになります。汚れの種類、付き方に応じて出来るだけダメージを与えない方法でとうのが前提になります。その前提からCHAT理論で効率よく汚れを取っていく道筋を立てていきましょう。