今回は効率的に汚れを落とすCHAT理論について解説します(前編)。汚れに対するアプローチが的確になり素早く汚れを落とせるようになります。
CHAT理論の定義
CHAT理論のCHATとは4つの名前の頭文字を取った相称です。それではその4つを見ていきましょう。
CはChemical(洗剤)
沢山の洗剤が開発されいます。汚れに対して専門的にアプローチできるようになりました。洗剤濃度の調節は汚れの落ちやすい最適なポイントを見つけます。
HはHeat(温度)
洗剤は温めることでパワーアップします。40~50℃が適温です。バケツヒーターやT-falでお湯を作って希釈すると良いでしょう。
AはAgitation(物理力)
沢山の洗浄パットや道具が開発され、機械は進化しています。汚れに応じた最適なアプローチができるようになりました。力の入れ具合や擦り方なども当てはまります。
TはTime(時間)
洗剤をどのくらいの時間つけ込むのか。汚れ・洗剤の用途・対象物に応じてつけ込む時間を決めましょう。
CHAT理論に当てはめる (油汚れ編)
4つを上手く組み合わせることで各汚れに的確にアプローチできます。
逆に間違えると対象物を痛めたり、汚れを取り除くのに時間がかかります。
まず汚れを見極める
どうアプローチするかを考えます。
レンジフードの油汚れについて考えてみましょう。
酸化物質はアルカリで中和する
油汚れは酸化物質なのでアルカリ洗剤で中和反応させて落とします。
汚れの状態をCHAT理論に当てはめて考えることで汚れの取り方の道筋を決めることができます。プロの掃除屋さんは瞬時に頭で考えています。
C(洗剤)のチョイスと濃度調節
油汚れ(酸化油)はアルカリ性の洗剤で中和させることが決まりました。次にアルカリ洗剤のチョイスとその濃度を考えていきます。
今回の油は熱によって固まる「熱変性」があまり無いと判断しました。よく見るとホコリが詰まっておりホコリにしみ込むような感じで油が付いています。しかし油を溶かすには強めの洗剤が必要ですので、アルカリの強さは強アルカリ(Ph13)の10倍希釈を選択します。
H(温度)を上げる
レンジフードフィルターは焼き付け塗装なので強アルカリは塗装を痛める可能性があります。なるべく負担を下げるために強アルカリの希釈倍率を下げ、その代わり温度を上げることで洗剤の効力を引き上げようと考えます。強アルカリを45℃くらいのお湯で10倍希釈してスプレーを作りました。
T(時間)について
今回は固着していない油ですので、そのままスプレーで噴霧して5分ほど置きました。
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A(物理力)について
洗剤を5分つけ置きして油が浮いてきたところでブラシで擦っていきます。
ブラシはナイロン製の少し硬めのものを使用します。
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油が大分取れましたがまだ残っています。洗剤の濃度が少し弱かったのと、ミスト噴霧のみの塗布に油が反応し切れていなかったと思われます。ここから一度洗って再度洗剤を塗布してブラッシングしました。2度の繰り返しですべての油汚れを取ることができました。
結果・反省点
レンジフードカバーをお湯で希釈したアルカリ溶液の中につけ込む方法の方が効果的だったかもしれません。しかしつけ込まずにその場で汚れを落とすことが出来れば、つけ込む時間を省くことができるので結果的に速く仕上げれるということになります。
その2択つまりTimeをどうするのかという部分で今回はあまりTimeをおかずに行けるだろう、その方が速いと判断した結果つけ置きを選ばずに、直接塗布の方法を選択しました。
洗剤の濃度をもう少し強くする(希釈倍率をもう少し下げる)と良かったかもしれません。今回のメリットとしてはリスク回避できていたという点です。弱いアルカリで塗装面のダメージを軽減できています。後編ではこのダメージについて解説していきます。
まとめ
今回は汚れを効果的に落とすCHAT理論の概要とその使い方について解説しました。
4つを上手く考えて使うことでキレイに素早く汚れを落とすことができます。
後編ではリスク回避、ダメージについて解説します。